六本木ヒルズの森美術館にて2021.4.22~2021.9.26に開催中の「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力ー世界の女性アーティスト16人」。
先日、一人で行ってきましたので、みどころや感じたことを記録しておきます。
森美術館:アナザーエナジー展
出展アーティストとコンセプト
出典しているアーティストは全部で16人。
なんと全て71歳~105歳までの女性です。
出身地も世界14ヶ国で、インドネシアやインドなど、「現代アート」と聞いてもあまり思いつかないイメージの国の女性アーティストも。
エテル・アドナン 1925年ベイルート生まれ、パリ在住
フィリダ・バーロウ 1944年英国、ニューカッスル・アポン・タイン生まれ、ロンドン在住
アンナ・ボギギアン 1946年カイロ生まれ、同地在住
ミリアム・カーン 1949年スイス、バーゼル生まれ、ブレガリア在住
リリ・デュジュリー 1941年ベルギー、ルーセラーレ生まれ、ローフェンデゲム在住
アンナ・ベラ・ガイゲル 1933年リオデジャネイロ生まれ、同地在住
ベアトリス・ゴンザレス 1932年コロンビア、ブカラマンガ生まれ、ボゴタ在住
カルメン・ヘレラ 1915年ハバナ生まれ、ニューヨーク在住
キム・スンギ 1946年韓国、扶餘(プヨ)生まれ、パリ在住
スザンヌ・レイシー 1945年カリフォルニア州ワスコ生まれ、ロサンゼルス在住
三島喜美代 1932年大阪府生まれ、同地および岐阜県在住
宮本和子 1942年東京都生まれ、ニューヨーク在住
センガ・ネングディ 1943年シカゴ生まれ、コロラド州コロラドスプリングス在住
ヌヌンWS 1948年インドネシア、ラワン生まれ、ジョグジャカルタ在住
アルピタ・シン 1937年インド、バラナガル生まれ、ニューデリー在住
ロビン・ホワイト 1946年ニュージーランド、テ・プケ生まれ、マスタートン在住
長らく、疑問を持たれることもなく「アーティスト=白人男性」だった現代。
この16人は全員50年以上のキャリアを持っているとのことですが、注目を浴びることなく長い年月が経っていました。
ロビン・ホワイト
そんな彼女達を、105歳になってなお毎日新しいアートに挑戦しつづけるエネルギーはなにか?
彼女たちを付き動かす「アナザーエナジー」とはなにか。
そういうコンセプトの展覧会です。
人生に迷えるミドサーの感想
16人のアーティストの経歴やインタビューが各展示に掲示されていました。
独身?の方・美術学校の教師をしつつ5人の子供を育てた母・結婚を期に異国へ移住した女性・40代で出産したNY在住のアーティスト・・・
「アーティスト」としての功績が一番大切だし、展覧会そのものは作品にフォーカスしたものですが、子育て中の迷えるミドサーとしては彼女達の生き方・半生も気になります。
どんな境遇であれ、70歳を超えてこうして功績を讃えられ、車椅子に乗っても老眼鏡と共に新しいチャレンジをしていく力。
手がかかりまくる乳幼児を抱えて、毎日を生きるのに精一杯・・・。
子供を産んでから一種のアイデンティティロスに陥っていた私は、色々なものを「諦める」のが当たり前になっていました。
ほんの小さなことから、大きなことまで。
(そういう女性、ものすごく多いと思う)
そんな中で、見たことのない景色にいざない、没頭させてくれる彼女たちの作品の一つ一つに、「どんな境遇でも、何歳でも、諦める必要はない」と勇気づけられる思いがしました。
どの作品も、とても大胆で、ときに絶妙なバランスで、とても不思議で、美しくて。
カルメン・ヘレラ
宮本和子
リリ・デュジュリー
個人的には、シカゴ生まれのセンガ・ネングディの作品解説を読んで泣けてきました↓
ネングディは自身の作品について「黒人であること、女性であること、自分の年齢への応答」であり、「子供を持ち、母親の世話をし、人生が与えてくれるその他多くのことを経験した人間」を表しているといいます。
また、「私の作品は、大多数(社会)に『ノー』と言われた全ての人たちに『イエス』と言う」ものであると述べています。
ネングディの彫刻作品「R.S.V.P.」シリーズを用いて行ったパフォーマンスの記録写真。新品ではないストッキングに砂が入れられた作品で、四方八方に引っ張られ、砂の重みで引き延ばされた状態は身体の伸縮性を表現しています。妊娠や年齢、または外部からの力や暴力などによって身体は変化し、それは私たちの「生のかたち」を表します。
作品において他者の反応や関与を重要だと考えるネングディは、作品をフランス語のフレーズ「Répondez s'il vous plaît」の略、「R.S.V.P.(お返事をください)」と名付けました。彼女は、「R.S.V.P.」を通じて多くの女性パフォーマーとコラボレーションをしています。壁に貼られたストッキングの網に捕らえられ、絡まり、拘束されるパフォーマーの身体は、人々に課された社会的制約や規範を暗示しているようです。
現代アート全般に興味がある人にはもちろんオススメです!
が、現代アートに興味がなくても
- 子育てに追われて自分を見失いそうな専業主婦
- キャリアどうしたらいいわけ?と悩めるワーキングマザー
- 結婚せずに行きていくと決めたけどかすかに迷いも感じる人
などなど、すべての世代の女性にも見て欲しい展覧会でした!!!